食パン専用鉄製フライパンをより扱いやすくするための軽量化について
鉄製フライパンは、重いというイメージを持つ方もいらっしゃるようです。今回の食パン専用フライパンについては、検討の結果、可能な限りの軽量化を行いました。お子様が料理をされる際にも使用できるようあまり重さを感じないような加工を施しています。
軽量化をする際に注意したこととは
鉄製フライパンの特徴である「蓄熱性」といわれる熱保持力をより活かし、料理を美味しく調理していただくためには、材料の厚さが重要に必要になります。薄くすると周りに熱を奪われやすくなり、その分「蓄熱性」が低下します。そのためあまり軽量化できないことになります。
また鉄製フライパンは耐久性に優れる一方で、その重さがデメリットとなることがあります。素材を薄くすると軽量化はできますが、耐久性は劣ってきます。そこで美味しい料理を作れる性能を落とさず、扱いやすくするための軽量化を図るといったバランスを考慮しました。
考えたポイントとは?
- 厚さの調整:肉厚を薄くすることによる軽量化。
- 取手の工夫:取っ手の形状や設計に工夫を加えることで全体の重量を減らす。
- 材料の工夫:薄い軽量な素材を使用すること。
導き出した結論
一般的に重いと言われる鉄製フライパンは、プレス加工のみのものが多いですが、食パン専用鉄製フライパンでは、以下の図のように、材料は見直した場合、蓄熱性が確実に低下することから、材料はそのままで底面を維持し側面のみを薄くする「ヘラ絞り加工」を選択することにしました。また取っ手はシンプルな天然木を選択しました。

へラ絞り加工の特徴
へら絞り加工は、主に金属の薄肉化や特定の形状を作り出すために用いられることが多く、金属の板を所定の型に合わせて押しつぶすようにして、必要な形状を形成します。ヘラの圧力や動きによって、金属の厚みを均一にしたり、複雑な曲線を作ることが可能です。
鉄製のフライパンを製造する場合、鉄板を成形する際に、へら絞りを用いて薄く軽量な部分を作ることで、全体的な軽さと丈夫さを両立させる技術として使われることがあります。

ヘラ絞り加工後の状態
以下の写真がヘラ絞り加工後の表面の状態です。ヘラによりフライパン本体の側面を削り取るように薄く加工され、きれいなラインが出ています。その後の検証の結果、この仕上がりによって「蓄熱性」、「耐久性」も処理前と比べほぼ変わらず保たれることが分かりました。1㎏弱あった重量が820g程度と20%程度軽量化され、従来の加工法に比べて、大幅な軽量化に成功しました。
